外国人が日本でペットを飼いたいときにすべきこと

外国人が日本でペットを飼うためには、さまざまな準備と理解が必要です。今回は獣医師としての視点から、健康管理と法的な責任をしっかりと認識し、ペットとともに安心して生活を送るためのアドバイスを提供したいと思います。

1. 日本のペット飼育環境を理解する

日本でペットを飼う際には、日本のペット飼育環境を理解することが重要です。例えば、まず最初にするべきこととしてペット可の住居を見つけることが必要です。アパートやマンションによっては、ペットの飼育が禁止されている場合があります。また、ペットを飼うためには事前に許可を取る必要がある場合があったり、頭数制限があることもあります。犬は飼育可能でも猫を飼うことを禁止されていたり、小鳥は飼ってもいいけど、大型インコは飼育禁止だったりすることもあります。せっかくペットを飼ったはいいけど、規約違反で住居に住めなくならないようにするためにも、事前に不動産業者や大家さんに確認すると良いでしょう。また犬を散歩させる場合は周辺に公園があるか、近隣の動物病院や犬種によってはトリミングサロンがあるかチェックが必要です。都心部の高層マンションでは、ペット専用のエレベーターやお散歩から帰ってきた後に犬の足を洗う設備が設置されているところもあります。

高層マンションの一角にあるペット専用の洗い場。居住者は無料で利用できる。

2 ペットを連れてくる、迎え入れる 

 外国から日本にペットを連れてくる場合、 厳格な輸入手続きが必要です。 まず、ペットの種類によっては、輸入が禁止されている場合がありますので、事前に確認することが重要です。ペットには適切な予防接種を受けさせ、 健康診断を行うことも求められます。 輸入手続きには、検疫所への申請や一定期間の検疫施設での滞在が含まれます。さらに、母国に帰国する際にも検疫が必要なことがほとんどです。事前にペットと一緒に帰国する場合の手続きも確認しておくことが大切です。また、日本で新たにペットオーナーになるためには、ペットショップを利用することが一般的です。諸外国ではシェルターやボランティア団体から譲り受けることが多いのですが、 日本では言葉の壁などの問題から困難であることが多いです。ペットショップの中には永住権を持っていないとペットを販売しないところもありますので、できれば日本語の通訳ができる友人と一緒に訪問するか、翻訳アプリを持って行くことをお勧めします。

3. 日本の獣医療サービスの利用方法

日本では、ペットの健康を守るために優れた獣医療サービスが提供されています。外国人が日本でペットを飼う場合、信頼できる獣医師を見つけることが重要です。しかしながら日本の獣医師は動物の診療において高い技術と知識を持っていますが、言語の壁が問題になることもあります。もちろん英語を話せる日本人獣医師もいますから、定期的な健康診断や予防接種を受けるようにして、かかりつけ獣医師との信頼関係を築いておくことはとても大切です。万が一、緊急で動物病院を受診しなければならなくなった時に、初めての動物病院に英語が伝わるか分からない状態で受診することは、外国人ペットオーナーとペットの両方にとって、不安になることでしょう。そうならないためにも、かかりつけ動物病院を作って日頃から担当の獣医師とコミュニケーションを取ることは、とても大切なことです。犬の散歩ついでに、動物病院に何も用事がなくても立ち寄ることで、愛犬が動物病院を大好きになることもあります。

4. ペットを飼うことへの責任とルール

ペットを飼うことは、単なる楽しみではなく、責任も伴います。日本では、ペットの飼い主には法律で定められた責任があります。例えば、生後90日齢以降の犬には、年に1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。母国に帰国する際にも、日本で狂犬病予防接種の証明がなければ出国できません。愛犬への狂犬病予防接種の接種義務を怠ると、罰金を支払わなければならなくなるケースもあります。 2023年6月1日以降、犬と猫はマイクロチップの装着と登録が義務化されました。また、公共の場でのペットのマナーを守ることも重要です。散歩中のリードの使用や、ペットの排泄物の処理など、地域のルールを守る必要があります。犬が人を噛んだり、犬同士の喧嘩で怪我をするほとんどの原因は、リードを装着していないことで起こります。快適なペットライフを過ごすためにも、ペットオーナー同士が思いやりを持ちながらペットを飼うことができるようにしたいですね。

まとめ

東京では日本に住むことをエンジョイしている外国籍の方に、毎日お会いする機会があります。 そんな方々がペットと共に暮らす選択肢が持てたら、 きっともっと毎日が楽しくなると思います。 外国籍の方が日本でペットを飼ってみたいと思った時に参考となることを願って、本記事を書いてみました。以下まとめです。

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1.飼育環境の確認
住んでいる場所が、ペットを飼うことが許可されているか確認してみましょう。都心部の高層マンションでは、ペットフレンドリーな施設を備えているところもあります。

2. ペットをどのように迎えるか
言葉の壁もあり、外国人ペットオーナーになるためにはペットショップの利用がファーストチョイスになります。できれば、日本語を通訳できる友人や翻訳アプリの利用をお勧めします。

3.動物病院との付き合い方

ペットを飼ったら、健康チェックのためにも動物病院を利用しましょう。日頃から動物病院に訪れることで、獣医師とよい関係を作ることができるでしょう。

4.可愛がるだけではなく、飼うことの責任を

日本では飼うことができない動物もいます。自分の飼いたい動物について最低限の法律やマナーを理解しましょう。

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銀座に近い、高層マンションに囲まれた東京月島にある当院では、外国人フレンドリーなどうぶつ病院を目指しています。外国人ペットオーナーのみなさまが、どんな小さなことでも気軽に相談できる場所となるために、今後もさまざまな取り組みを進めていきます。

当院WEBサイト http://www.anima-ah.com/

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