今さら聞けない日本の狂犬病予防接種について
年に1度の接種が義務付けられている、狂犬病予防接種。日本独自のシステムで予防注射が行われています。今回は、日本の狂犬病予防にフォーカスしてブログを書いてみました。
狂犬病とは
狂犬病ウイルスが原因で、狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれたり、傷口などに唾液が触れたりすることで発症します。噛まれてすぐに、発症するのではなく、狂犬病の症状は1−2ヶ月経過してから現れます。症状が出てしまうと100%死亡してしまう病気です。日本は海に囲まれた国であるために、狂犬病ウイルスの侵入を許してしまうと、追い出すことが難しい環境の国です。幸運なことに、日本では1956年以降は狂犬病が発生していません。これは狂犬病予防法という法律で海外から輸出入される、犬、猫、アライグマ、キツネ、スカンクに対して、厳しい審査を行うとともに、日本国内では生後91日を過ぎた犬への予防注射が義務となっているからです。
日本の年度という制度
狂犬病予防接種を語る前に、日本特有の年度という習慣を説明します。
日本の年度制度は、4月1日から翌年の3月31日までの1年間を指します。これは、日本の学校や会社でよく使われる時間の区切り方です。例えば、学校では4月に新学年が始まり、3月に終わります。会社でも4月に新しい社員が入ったり、新しい事業が始まったりすることが多いです。
この制度は、春が何か新しいことを始めるのにぴったりな時期と考えられている日本の文化に影響されています。他の多くの国では1月から12月までを1年とするカレンダーイヤーを使っていますが、日本は少し違います。日本に住む外国人ペットオーナーの方が日本で生活する時は、この年度制度がどういうものか知っておくと、学校や会社での生活もスムーズになるでしょう。
狂犬病予防接種は4月が年度の始まりなので、狂犬病予防月間として4月から6月に接種することを呼び掛けられています。しかし、9月生まれの子犬は生後91日過ぎたら狂犬病ワクチンを注射しなくてはならないので、1月に接種を行います。そういった場合は、次の年度は無理せずに、接種時期を少しずつスライドさせて最終的に4−6月の間で接種できるようにすることが望ましいと思われます。ただし、狂犬病接種の新年度接種は毎年3月2日以降から受け付けています。接種時期が不安な場合は、最寄りの動物病院にお問い合わせください。
狂犬病注射の流れ
新たに犬を飼い始めたら、2022年より義務化されたマイクロチップの装着とマイクロチップに記録されている番号を環境省に登録する必要があります。(https://reg.mc.env.go.jp にアクセスすることでオンラインで登録できます。) 次に最寄りの動物病院で狂犬病ワクチンを受けます。狂犬病ワクチンを受けると、済票と呼ばれる金属のプレートを取得することができるのですが、自治体によって取得方法が異なっており、保健所で受け取れる場合と動物病院で受け取れる場合があるので、動物病院の指示に従ってください。2年目以降の接種ですが、毎年3月にお住まいの地域の保健所より狂犬病の案内が郵送されてきます。その封筒を持って、動物病院あるいは地域によっては指定された場所で集団接種を行うことができます。保健所から送られてきた封筒は大切に保管してください。
犬が人を噛んでしまったら
速やかに保健所に連絡して、最寄りの動物病院に相談するようにしましょう。動物病院では、犬が人を噛んでしまったときのマニュアルに沿って、犬の身体検査を行います。原則的には、1回目の検査から2週間経過したときにもう一度検査を行なって、狂犬病にかかっていないかどうかを証明する診断書を作成します。飼い主はその診断書を保健所に提出する必要があります。狂犬病ワクチンを注射していない犬が人を噛んだ場合には、飼い主が様々な罪に問われる可能性が高くなりますので、注意しましょう。
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